こんにちは、QPです。
土曜日から寝る間も惜しんでプレイしていた『大図書館の羊飼い』をようやくクリアすることができました。
共通部分の既読文章はスキップしましたが、それでも30時間ぐらいかかったので、かなりボリュームがあった作品と言っていいでしょう。
※後半にネタばれを含みますのでご注意ください。
この手のサウンドノベル作品をプレイしたのは3回目、ちなみにはまりにはまった『穢翼のユースティア』は2回目で、1回目はLeafの『うたわれるもの』だったりします。
(o>ロ<)o「ハクオロォォォォォ!」
ちなみに、萌えグッズを買い漁っている自分ですが、実は萌えアニメなどはあまり見たことがありません Σ(・ω・ノ)ノ!
嘘だろうと思われるかもしれませんが、現に見ているものとしては『To LOVEる』ぐらい、他にも『どらドラ!』なども見ましたが、それくらいなもんです。
というのも、基本としてSFやらの壮大な物語が好きなので、萌え系に多い日常を描いた「学園モノ」というのが苦手というか、面白味があまり感じられないというのが本当のところ。
そんな野郎が今回、モロに学園モノである『大図書館の羊飼い』をプレイしたわけですが、普通に楽しめました。
このゲームでは、選ぶルートによって多少異なるものの、主人公が2年生に進級した4月から10月までの約半年間を主に描いています。その中で主人公は図書部という名を借りた「便利屋」のような部活に身を置き、舞い込んでくる様々な依頼を仲間たちと共に解決することで「学校を楽しくする」というのがこのゲームの大きな流れです。
ただ、ひとえに学園といってもその規模が5万人というヤバイ設定なので普通の学園モノとは言えないのかもしれません、教室での描写はほとんどなく部活のみに焦点を当ていました。
物語の共通部分は7月のミナフェスまで、それからは個別のルートへと分岐しています。しかし、ルートの確定が共通部分のかなり初めの方なのですべてのルートをプレイするには何回も共通部分をプレイしなくてはいけなかったのが少し面倒(次の選択肢へ飛ぶようなシステムがない)、その点『穢翼のユースティア』は途中下車のように、芯としてティアのストーリーがあり、脇道として各ヒロインの話があるような感じで楽でした。
今回の場合は共通部分からの枝分かれに近いものを感じます。一応、小太刀ルートが物語の芯的な要素を持っていますが、それだけでは不十分なので、最低でも小太刀の他に一人、誰かのTRUEエンドを見る必要があるでしょう。また、初めから小太刀ルートには入れないことを考えると、3回はプレイする必要があるかと思われます。
分岐の数は12本、小太刀を除いたメインヒロインの4人のENDが4本とサブヒロインのENDが3本、小太刀を含めたメインヒロイン5人のTRUE ENDが5本という構成となっています。長いですがカットインなどの演出や主人公と仲間たちの絡みも面白く、飽きることはありませでした。分岐に関しても難しいものはなく、行きたいヒロインにベクトルを向けていればおのずとそのルートに入ります。
ただ、TRUE ENDが小太刀以外ほぼ差分でしかなかったことは残念でなりません。
それ以外の部部ですが、今回も絵師は安定のべっかんこうさん、キャラクターの可愛さもさることながら今回は塗りに磨きがかかったように思えます。
音楽もユースティアほどではありませんでしたが、しっかりゲームに馴染んでいてよかったです。
※以下、ネタばれを含みますので未プレイの方はご注意ください。
このゲームの評価は共通部分の掛け合いで分かれると言っても過言ではないと思います。
というのも共通部分は物語の大部分を占めているため、その掛け合いが面白くないと自然と物語の半分以上が面白くないシーンになります。自分としてはテンポもよく非常に面白く、特に高峰が絡んでくるところはニヤニヤさせられました。
また、羊飼いの正体を突き止めるミステリーのような要素も自分には好印象でした。物語は次第に羊飼いからミナフェスなどへとシフトしていきますが、これが羊飼い特有の「忘れやすさ」を表現しているのだとしたらなかなか面白い試みです。
個人的に好きなルートは桜庭・佳奈、小太刀の3つ。
・桜庭ルート(ノーマル)
桜庭の内面での葛藤はまさに秀才としてもてはやされてきたのであればおかしくなく、白崎へ依存してしまうのも頷ける気がします。周囲の期待に答えようとする思いとそれができない現実、さらには将来への不安、様々なことに追い込まれ自身を忙殺することで騙し騙しそれらから逃げていた桜庭、しかし、それも限界を迎え現実と向き合わなければならなくなった時、桜庭が主人公に見せる弱さとそこから立ち直ろうとする強さ、個人的には主人公が桜庭の実家まで乗り込んでいく描写が欲しかったところでしたが、それがなくとも面白いと思えました。
・佳奈ルート(ノーマル)
女子校という特殊な環境で育った佳奈、自分ではない何かを常に演じ続けることに疲れ、自分を変えようと汐見学園に入学してくるわけですが、図書部に入ってからもなぜか演じてしまう自分にもどかしさを感じる一方で、自分と同じく周囲と距離をとり続ける主人公に惹かれていきます。しかし、ようやく親しくなれた御園も自分と同じく主人公が好きだということに気が付いた佳奈は、嫌われることを恐れて御園をくっつけようと行動するのですが、最後の最後に逆に背中を押されることとなりました。御園ルートで垣間見せた主人公の想いとも相まって、成就してよかったなと思える流れでした。
・小太刀ルート
羊飼いがどういった存在なのかがようやくわかるルートでした。羊飼いは一言でいえば「人類の奉仕者」というようなもの、誰にも認知されることなく人の幸せを願い続けるという、素晴らしくも儚い存在でした。小太刀が羊飼いを目指す理由は、羊飼いの理念からは少しずれるわけですが、当の本人はそれに気が付けません、それをいち早く見抜いた主人公は、小太刀の願いをかなえようと手助けをするものの、次第に小太刀が羊飼いという遠い存在になることに恐れを感じるようになります。また、小太刀と同じく暗い過去を送った主人公でしたが、その頃には図書部の活動を通して世の中そんなに捨てたもんじゃないと思えるようにもなっていて、小太刀にもそれを伝えようともしていました。
小太刀も、自分より優秀な主人公に一度は嫉妬心しか見せなかったものの、だんだん心惹かれてゆきます。しかし、今まで羊飼いになろうと費やした時間がそう簡単に気持ちを切り替えさせてくれるはずもなく、主人公のことを忘れようと姿を消しますが、最後は主人公の強い想いに心を開くことになりました。
こういう消えようとする演出というのはやっぱりずるいですね、あのまま小太刀が消えるのがTRUE ENDだったら悲しすぎます。これからも二人には幸せでいてもらいたい。(笑)
さて、小太刀ルート以外のTRUEでは、主人公の父親が実は羊飼いのナナイさんだったということが描かれています。家族を幸せにしようと自らの予知能力を使う父親ですが、そのことごとくに失敗してしまい、事態はどんどん悪い方向へと進んでいきました。このままではもう無理だと思った父親は家族を捨て羊飼いになり、家族だけでなく人類の幸せを願うようになるわけですが、主人公からしてみるとこれが捨てられたになってしまうわけです。
羊飼いになることで家族を幸せにすることを選んだ父親と、そばにいてくれることを望んだ主人公のなんとも儚い話ともいえるでしょう。父親からすれば、このまま一緒に生活して主人公に地位などを引き継いでは、自分と同じ道を主人公がたどるのではないかという不安があったのではないでしょうか、父親のこの行動についても賛否が分かれそうですね。
以上、書き足りない部分もありますが、『大図書館の羊飼い』をプレイしてみた感想です。
総じて面白いと思える内容でしたが、主人公の過去など、設定に少々無理があるようにも思える部分がありました。共通部分の出来はよく、ノーマルENDも良かったのですが、せっかくのTRUE ENDが差分だったのはちょっとだめだったと思います。
しかし、素直にプレイしていれば涙こそ流せないものの感動はできる作品でした。次回作に期待です。
以上、不定期更新でした。
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